事件記録は「国民の財産」

 最高裁が「事件記録は『国民の財産』とする理念を規定として明文化した」という新聞記事を目にしました。
昨年、相次いで「重要な事件記録の廃棄」が明らかになり、関係者はもちろん多くの国民に衝撃を与えたのは記憶に新しいところです。

 この問題が発覚して以来、「保存期間を満了した事件記録」についても例外なく保存を継続している裁判所もあるようです。一見すると誤りのない対応のように思えますが、定められた保存期間とは異なる対応をしているという点で組織管理上問題です。
 「廃棄せず保存を継続していれば問題になることはないだろう」というのはある意味で恣意的な運用を意味し、ルールに即していない運用はその時々の担当者次第で簡単に変わる恐れがあります。

 まずは一口に事件記録と括られるものをいくつかの層に分類し、それぞれに適切な保存期間を定めることです。

 そして、それらがルールに即して運用されているか定期的にチェックすることが重要です。

 そのうえで、行政文書と同様に保存期間を満了した事件記録を直ちに廃棄するのではなく、「歴史的事件記録」の視点で評価し「廃棄するもの」と「歴史的事件記録として保存するもの」に選別すべきではないでしょうか。
 万一「保管スペースの問題で、事件記録を保存できない」という事案があるようならば、「他の施設で保存する」とか「電子化したうえで現物(紙)は廃棄する」という対応を検討すればよいと考えます。

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